牛乳入りペンギンの図書通信

読んだ本の話と、本を読むことの話をしています。牛乳入りペンギンは杉田抱僕でもあります。

「本の話をする場所」の話

読書ブログを作りたいな、とずっと思っていました。ブログではなくてもいいのだけど、読んだ本や読みたい本、本を読むことの話をする場所が欲しいなあと。

そう思って作ったのがこのブログで、これから以下の内容を投稿していく予定です。

 

▼読んだ本の感想(これから読む人向け/もう読んだ人向け)

▼読書にまつわるよもやま話

▼短歌の話

 

このうち「読書にまつわるよもやま話」の一つめとして、自分の「本の話をする場所」について書こうと思います。

 

自分はブログやフリーペーパーなど、いくつかの「本の話をする場所」を居場所にしてきました。自分で作ったものもあれば、すでにあった場所に参加させてもらったこともあります。本が好きで、好きな本を人にすすめることやそのための文章を書くことも好きだったので、そうした居場所があることはいつだって嬉しいことでした。

そんななかでも“居場所”になった経緯として印象深いのが高校時代の図書委員です。

 

入学した時点で母校には図書委員というものはありませんでした(図書室の運営や管理は司書の方がしていました)。なかったのですが、国語の先生に「図書委員やらない?」と声をかけられて図書委員になりました。「杉田さん本好きでしょう。図書通信とか作らない?」と。

 

母校は中高一貫校で、国語の先生には中学時代にも授業を持ってもらっていました。だから自分が読書好きだということも、何となしに伝わっていたのかもしれません。にしても、図書委員(図書通信)を立ち上げるほどの何かが自分や、自分とその先生との間にあったような記憶はなくて、どうしてだったんだろうと思います。もしかしたら先生が図書通信を発行したくてダシにされたのかもなぁと、いま振り返ればそんな気がしなくもないような。

ただどんな思惑があったにしろなかったにしろ、先生からの誘いは嬉しかったし、今でも嬉しく思っています。あるいは今のほうが、より嬉しく思っているかもしれません。

本が好きだという自分の気持ちを知ってくれている人がいる、本が好きだという自分の言葉を聞いてくれていた人がいるということは、本当に嬉しいことだと、今あらためて思います。そして、ここをあなたの居場所にしなさいと差し出してもらえたことが重ねて嬉しかったのです。

 

そこから時は流れ、大学卒業と同時に、自分にとっての「本の話をする場所」がなくなりました。本の話を出来る相手はいるけれど、文章を書いて発表する場所はない。じゃあ自分で作るか……と思いつつズルズルしつづけて、ようやく今に至ります。

 

居場所を作るのは久しぶりで、少し怖いなという気持ちもあります。

見てくれる人がいるのかなとか、トラブル起こさないかなとか、飽きないかなとか。“入る”ときにはなかった怖さが“作る”ことにはあると、つくづく思います。けれど居場所を作ってくれたあの先生はここにはいないので。そしてあの先生が自分の「本が好きだ!」という声を聞いて、受け取って、新しい場所までくれた記憶があるので。とりあえずやってみますかと踏み出す一歩めとしてこの文章を書いています。

この新しい図書通信が誰かの手元に届いて、楽しんでもらえますよう。